感動!超おすすめの面白い小説ランキング118選を本の虫が紹介!

皆さん、小説は好きですか?

私は大好きで、毎年沢山の本を読みます。

今回はそんな『本の虫』の私が、おすすめの小説をランキング形式にて紹介します。ランクインしている作品はどれも面白く感動するものばかりなので、是非読んでみて下さい。

【2020/03/25】内部リンク修正

以下ルールです。

  • 小説、洋書、ライトノベル、サウンドノベルなど形態は問いません。
  • SF、ヒューマンドラマ、随筆、ミステリー、サスペンス、恋愛、ドキュメンタリー、ビジネス、自己啓発などジャンルは問いません。
  • 同じ作家からは2作品以内で選びます。
  • シリーズ作品は1作品とカウントします。
  • 完全に私の独断と偏見で選んでおりますので、ご容赦下さい。

懐かしい作品、最新の作品全て網羅的に、今まで読んだおすすめ作品をランキング形式にしました。このエントリーは何日もかけ、苦心し作品への愛を込めて書きました。

もし、長くて読むのが面倒だという方は、下のリンクからそれぞれの順位に飛べますので、ご活用下さい。

では、いってみましょう。

おすすめの面白い小説|118位~111位

118位 女の一生 遠藤周作

長崎の商家へ奉公に出てきた浦上の農家の娘キク。活発で切れながの眼の美しい少女が想いを寄せた清吉は、信仰を禁じられていた基督教の信者だった…。

鬼才、遠藤周作の著作の中でも特に好きな作品です。非常に丁寧な心理描写で、一途で純真な愛や、自己犠牲の感情をまざまざと描き出していました。

キリシタンの弾圧などの描写も史実に基づき、丁寧に描かれていたので、その点も含めて著者の筆力の高さがうかがえました。

ラストはかなり切なく、重厚感のある読後感でしたが、その点も含めて、巷に溢れる恋愛小説とは一線を画した名作と言えます。

2部の「サチ子の場合」についても名作なので、興味がある方は、そちらもぜひチェックしてみて下さい!

117位 劇場 又吉直樹

お笑い芸人『ピース』の又吉直樹の作品です。前作『火花』が第153回芥川賞を受賞し、一躍有名になった彼の2作目となります。劇作家を目指す主人公永田と、演劇を志す恋人沙希の物語です。

人物描写が非常に丁寧に行われており、また、お互いがすれ違い関係が崩れていく様が、まるで撫でる様なほど繊細な描写で表現されています。

情熱があるが故に、周りに認められたいと空回りしてしまう永田に対して、親近感を抱ける方であれば、より、本小説への没入感が高まるでしょう。

プロットや構成の妙で、読者に驚きを与える作品ではなく、ただ淡々と続くその日常の中の、仄かな温かみや、すれ違いの悲しさを読者に問う作品です。

他、又吉直樹のおすすめ小説については、以下の記事に個別でまとめているため、合わせて参考にして下さい。

ラストは中々感動的です。是非あなたの目で確かめて下さい。

116位.サルたちの狂宴

ゴールドマン・サックスを経てフェイスブックに転じた元クオンツが見たIT業界のあきれた実態とは?スタートアップ立ち上げから、FB社を追われるまでを、冗句と悪口と暴露満載でつづるシリコンバレー悪童日記。

非常にリアルにシリコンバレーの舞台裏が描かれている快作です!

私自身、あまりアメリカのIT業界については、詳しくないのですが、軽快かつユニークな文章で、どんどん読み進めることができます。

スタートアップに興味が無い方でも、その生態を知るという観点から、一度は手にしてみて損のない良書です!

翻訳がやや適切でない箇所が散見されたため本順位としましたが、細かい日本語が気にならない方であれば、もっと高い順位でも問題ない小説になります。

ビジネス書としても小説としても楽しめる、おすすめ作品です!

115位 世にも奇妙な君物語 朝井リョウ

今ときめく朝井リョウが、大好きなTVドラマ『世にも奇妙な物語』を勝手に5篇書いた短編集。短時間でさらりと読め、どの作品も落ちが中々秀逸です。

『シェアハウさない』、『リア充裁判』、『立て! 金次郎』、『13.5文字しか集中して読めな』、『脇役バトルロワイアル』の計5篇が収録されています。私は一番最期のお話が好きです。小説を読んでお腹を抱えて笑ったのは久しぶり。

小説をよく読む人には少し辛いかもしれませんが、文字が苦手な人でも短時間で読め、笑えるエンターテイメント作品なので、今回選定しました。

他、朝井リョウのおすすめ小説については、以下の個別記事を参考にして下さい!

世にも奇妙な物語が好きな人なら、まず満足出来る内容です!

114位 君の膵臓を食べたい 住野よる

主人公は病院で1冊の本を拾います。それは彼のクラスメイトである山内桜良が綴る、秘密の日記帳でした。そこには、彼女の余命が、もういくばくもないと書かれていました。

私は題名に魅かれて本作を買いました。ラノベ調の読みやすい文体で、生と死をテーマに物語は進みます。作者の近くに似たような人がいたのかと錯覚するほど、生死に関して深く描かれており、物語の途中は震えながら読んでいました。

しかし、私はラストの展開がどうしても納得いきませんでした。確かにそのような結末もあるかも知れませんが、この二人にはもう少し違った展開を見せて欲しかったと、読了後に強く思いました。

青春小説としては良く出来ている作品なので、私のようにタイトルが気になったのなら読んでみる事をおすすめします。

113位 トワイライト・シャッフル 乙川 優三郎

時代小説の大家として有名な著者ですが、私は本作品で初めて彼の著書に触れました。 房総半島にある海沿いの町を舞台として、様々な人が混じり合います。

物語は時に寓話的であったり、希望があったり、出会いや別れがあったりと、読者に様々な感情を抱かせます。短い物語の中に人生の1篇が詰まっていると言っても過言ではないでしょう。

ストーリーがやや不自然に感じる短篇もあった事が玉に瑕ですが、切れ味鋭い短篇を探している方であれば、読んで損はないでしょう。

112位 2分間の冒険 岡田淳

児童文学です。私は小学生の時に図書館で借りて、この本を読みました。今回はランクインさせるかどうか迷いましたが、私が本を読むきっかけになった大切な作品なので、今回選定しました。

黒猫のダレカに誘われるまま主人公悟はファンタジー世界へと入り込みます。主人公が選ばれしもののような単純なファンタジーではなく、非常に考えさせられる作品です。私は老人の館で、みな同じ事を言われているシーンに愕然としました。

子どもの頃読んだ事がある方は、是非もう一度読んでみて下さい。また違った感想をもつはずです!

111位 いつか、眠りにつく日 いぬじゅん

主人公蛍は交通事故に遭い、命を落としてしまう。そして、案内人クロが現れ、この世に残した未練を3つ解消しなければ、成仏できないと蛍に告げる。蛍は、未練のひとつが5年間片想いしている蓮に告白することだと気づいていた。だが、どうしても想いを伝えられない。

2014年のケータイ小説大賞作品です。ケータイ小説というと、内容が軽いイメージがあったのですが、表紙に魅かれて買ってしまった作品です。

読みやすい文体で、非常い優しい物語でした。主人公が高校生なので、深いテーマを扱ったり、重い展開になることはありませんが、淡々と進む物語は、どこか優しさに満ちていました。

小説を日頃読まない方でも、読みやすい一冊だと思います。ラストはちょっと驚きの展開です。温かな世界をあなたに。

 

おすすめの面白い小説|110位~101位

110位 一瞬の風になれ 佐藤多佳子

主人公である新二の周りには、2人の天才がいる。サッカー選手の兄・健一と、短距離走者の親友・連だ。新二は兄への複雑な想いからサッカーを諦めるが、連の美しい走りに導かれ、スプリンターの道を歩むことになる。夢は、ひとつ。どこまでも速くなること。

青春スポーツ小説です。3部作のですが、長編の長さを感じず、キャラクターがぐいぐいと物語を引っ張っていきます。

高校生活を描くので、恋愛要素もありますが、私はそれよりも陸上競技を通して熱い友情や競争心を描いている時の方が読んでいて楽しかったです。あまり字を読まない方も、キャラクターに非常に魅力がある作品なので、感情移入しやすく読みやすいはずです。

読了後はきっと陸上が好きになって、走り出したくなると思います。

109位 三日間の幸福 三秋縋

寿命の査定価格が一年につき一万円ぽっちだった。未来を悲観し寿命を売った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうとするが、何をやっても裏目に出る。空回りする俺を醒めた目で見つめる、監視員ミヤギ。彼女の為に生きることこそ幸せなのだと気付く頃には、寿命は二か月を切っていた。

三秋縋の小説。著者の作品の中では一番好きです。無機質で触れたら壊れそうな世界観を描きだす独特の筆致が特徴です。

暗く、淡々と物語は進行しますが、最期まで読むと何故だかほろりと涙がこぼれました。きっと『ああ、いい話を読んだな』と思える作品です。恋愛小説が苦手な人も是非一読を。作者の世界観にはまってしまうかもしれません。

108位 あかね空 山本一力

作者の代表作、傑作時代小説です。豆腐職人の永吉が主人公となり、土地柄・食文化の違いにも負けずに、家族に支えられながら、江戸で必死に豆腐を作ります。

描写が非常にリアルで、町の様子や江戸っ子の気質がまざまざと描かれ、読んでいて江戸の町にいるような錯覚を受けます。

人情物が好きな人であれば、まず読んでもらいたい一冊です。終盤は目頭が熱くなります。本当にいい小説です。

107位 ベンジャミン・バトン 数奇な人生 スコット・フィッツジェラルド

フィッツジェラルドによる永遠の名作。老人の姿で生まれ、若返っていった男の、哀しくも美しい物語。

映画の方が有名な本作。私はこの映画が本当に好きで、何度見返しているか分かりません。お恥ずかしい話、映画に原作があると知らず、その原作小説をあの『グレート・ギャツビー』を描いたスコット・フィッツジェラルドが描いていると最近知り、即購入しました。

映画よりも少しコメディータッチですが、和訳も良く、スムーズに読めます。正直映画の方を先に見てしまったので、私は映画の方が好きですが、本書も十分に読むに値する作品です。

106位 ナイフ投げ師 スティーヴン・ミルハウザー

12の短編から成り立つ物語。万人受けしない作品ですが、私は大好きなので、今回ランクインさせました。

禍々しい世界を優美な表現で語ります。この作家の特徴として、信じられないような設定の物語を構築することが挙げられます。しかし、それを成立させる腕は見事で、読めば作者の妄想世界に引きずり込まれます。

それぞれ独立している話のはずなのに、どこかリンクを感じさせる点も不思議でした。

実を言うと今回、この作品のコメントを書くのに一番苦労しまして、素晴らしい作品である事に間違いないのですが、独特過ぎて、それを言葉にする事が難しいです。おそらく彼の作品を読めば、その理由も分かると思います。

105位 誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール 野口敏

ハウツー本です。本屋でポップを見て、興味をもったので購入しました。この手の作品は、あまり具体的な事を書かず、読者を煙に巻く手法が多いのですが、本書は余すところなく会話が途切れない方法を具体的に書いています。

私は本書を読むことで、会話についての重要なルールを思い出しました。コミュニケーションが苦手でない方でも読んで為になる本だと思います。

104位:自分を操る超集中力

  • 発行日:2016年5月
  • 発行元:かんき出版
  • 受賞歴:第7回オーディオブックアワード特別賞受賞
  • 備考 :漫画化済

メンタリストとして有名なDaiGoが描く、集中力を高めるためのテクニックをまとめた一冊です。

このようなハウツー本は、エビデンスが提示されていないことがほとんどですが、本作は、それらとは異なり、科学的根拠に基づいて、具体的かつ実践的なメソッドを紹介しています。

また、活字が苦手な方に向けて、読みやすいように配慮もされているため、その点でもおすすめです!

DaiGoのおすすめ本は、以下の記事にまとめているため、そちらも合わせて参考にしてください!

103位 きみの友だち 重松清

短編集。しかし全ての話が孤立しているわけではなく、最後には点と点が繋がり、線になります。

足の不自由な恵美と、腎臓に疾患を抱えている由香が様々な友人と関わります。おそらくこの本は、思春期につらい経験をしてきた人ほど深く突き刺さる作品だと思います

非常に現実味がある登場人物ばかりで、実際に似たような体験をした方も多いのではないでしょうか。読んでいて、昔を思い出し辛くなる時もありますが、友達について深く考えさせられる作品です。

私はこの作品に、出来れば中学生のときに出会いたかったです。

以下の記事に重松清のおすすめ本をまとめているため、そちらも合わせて参考にして下さい。

102位 都会(まち)のトム&ソーヤ はやみねかおる

頭脳名作な創也と普通の学生内人の冒険譚。謎の天才ゲームクリエイターをさがすふたりの行く手には、多くの危険が待っていた。知恵と工夫の新・冒険記が、いま、はじまる!

少々高い順位の気もしますが、読みやすさと、面白さで今回ランクイン。私も彼女様もこの作品に幼いころ触れており、思い出の1作です。トム・ソーヤの題目通り、まさしく少年たちの冒険譚であり、読むと胸が熱くなります。

対象は小学生~高校生まででしょうか。しかし、大人が読んでも面白い作品です。

101位 十五少年漂流記 ジュール・ヴェルヌ

ゴードンを頭に15人の少年を乗せたスクーナー船が、荒海に出てしまった。大嵐にもまれたすえ、船は座礁。どこかわからない土地で、彼らは生きるために工夫を重ね、知恵と勇気と好奇心とを使って、スリルに満ちた生活を繰りひろげる。

非常に有名な作品です。学生の頃、図書館で借りて読んで胸を熱くした人も多いのではないでしょうか。

しかし、児童書と侮るなかれ。少年たちのサバイバルの様子を非常に細かく丁寧に描写しています。無人島での生活は起伏に富んでおり、協力しつつ困難を乗り越える様は、例え読者が大人だとしても十分楽しめます。

私は大人になってから本作を2度も読み返しまています。サバイバル作品のパイオニア的本作。是非一読下さい。

 

おすすめの面白い小説|100位~91位

100位 ゆれる 西川 美和

故郷である田舎町を嫌って都会へ出た奔放な弟・猛と、家業を継いで町に残った実直な兄・稔。対照的な生き方をしてきた二人の関係が、幼なじみだった智恵子の死をきっかけに揺らぎはじめる。

映画『ゆれる』は既に視聴済で、映画の脚本・監督にあたった西川美和氏が小説化したと聞き、興味を持って読んでみました。

映画でもそうでしたが、登場人物の心の機微を深く捉えています。ある家族の事件に関する物語で、その関係者たちの視点で、各章毎に話が進みます。行間にさりげなく存在する情緒や、情景が澄明に浮き上がってくる不思議な作品です。 映画を視聴済で、物語を知っている方もきっと楽しめる作品なので、是非一読を!

99位 時をかける少女 筒井康隆

放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。試験管の液体からただようあまい香り。それを嗅ぎ、芳山和子は意識を失いたおれてしまった。そして目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始めた。

映画の方が有名な本作。原作小説の存在を知らない方も多いのではないでしょうか。発表が1965年、学生向け科学雑誌であり、古臭く子供っぽいと感じてしまうところありますが、それでもとても面白いです。

映画で感動した方なら、是非この原作も読んでほしいと切に思う作品です。本書は時をかける少女のみではなく、『悪夢の真相』、『果てしなき多元宇宙』の2編も収録されています。そちらも面白いので、是非読んでみて下さい。

筒井康隆のおすすめ本は、以下の記事も合わせて一読下さい!

98位 ゲームの達人 シドニィ・シェルダン

アメリカでは『Mr.ベストセラー』と呼ばれているシドニィ・シェルダンの代表作です。非常に有名な著書なので、知っている人も多いのではないでしょうか。

世界的企業の女性オーナーを中心に、父親から、孫娘まで4代の人生を描いた小説です。様々な策略を巡らせ、自身の欲望の沼にどっぷりと浸かる人達と、愚直に生きようとする人達が対比され描かれています。

かなりページ数が多いですが、どんでん返しも多く、早いストーリー展開で読者を引き込みます。エンターテインメント作品としては、傑作の部類に入ります。シドニィ・シェルダンの入門書としてもおすすめですので、彼の作品を未読の方は、まずこちらから始める事をおすすめします。

97位 ブラッドソング アンソニー・ライアン

 長き戦乱に終止符を打ち、統一を果たした王国の伝説的英雄である元帥の長子ヴェーリン。家族と袂を分かち、戦いを務めとする第六騎士団の一員となったヴェーリンは、苛酷な訓練と実戦のなかで戦士として成長していく。

重厚なダークファンタジーです。設定の素晴らしさ、大量の伏線をひいているにも関わらず、すらすら読めるプロットの良さなど、著者の技量の高さが伺えます。世界観もよく、ページをめくる手が止まりませんでした。

しかし、本作は原作1冊を3冊に分冊しているのですが、ラストの3巻がまだ出版されていないという悲劇を抱えています。諸藩の事情で遅れているようですが、本当に出版されるのか、それとも打ち切りかは分かりません。

96位 十角館の殺人(館シリーズ) 綾辻行人

私が天才だと思っている作家はそう多くないですが、その内の一人が綾辻行人です。本作は彼のデビュー作であり、私が一番最初に触れた彼の作品でもあります。

心理描写が非常に上手く、物語の中に実際にいるような錯覚に陥ります。ラストも秀逸で、彼の作品らしいどんでん返しに、思わず手が震えました。

本作は『館シリーズ』としてシリーズ化されており、2016年現在9作品が発表されていますので、この作品を読んで面白かった方は是非他作品も見てみて下さい。

95位 いま、会いにゆきます 市川 拓司

妻の澪が亡くなって1年、身体に不具合を抱えた巧は、町の司法書士事務所に勤めながら、6歳になる一人息子の佑司と暮らしていた。再び巡ってきた雨の季節の週末、町はずれの森で、父と子二人に奇跡が訪れる。

ドラマ化、映画化もされた感動傑作です。ご存知の方も多い作品なのではないでしょうか。

優しいお話です。まるで童話を読んでいる様な感覚に私は陥りました。幸せは、普段気付かない些細な日常の中にあることを、改めて思い出させてくれる良書です。どこにでもある家族の生活と、それが『失われる』事による哀しみを、温かい言葉で綴っています。

一言でいうのであれば、極上の恋愛小説。愛の物語です。目が腫れるほど泣きたい時に、是非読んで見て下さい。

94位 GOTH 乙一

世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか?

乙一のサスペンス小説。彼の作品の中でも有名な一作なので、書店で見かけた方も多いのではないでしょうか。私は彼の作品を何冊か読んでいますが、 正直あまり面白いものはなかったです。

その中で、唯一人におすすめできる作品が本作『GOTH』です。本作は主人公の僕に焦点を当て、「リストカット事件」、「土」、「声」の三篇から成り立っています。

淡々と描く文体が、冷たく奇妙な世界観と絶妙に柔和しており、読者を著者の生み出すどこか異常な世界に引きずり込みます。グロテスクな描写も非常に多い為、読む際は注意が必要です。プロットも非常に練ってあり、呑電返しも多くあります。

93位 我が闘争 堀江 貴文

アドルフ・ヒトラーの作品ではなく、IT業界の異端児、堀江貴文の自叙伝です。同様の自叙伝に『0(ゼロ)』という作品がありますが、本作の方がより詳細な内容について記載があります。

ライブドア事件後、ニュースで話題になっていた作者ですが、そこまでに至った経緯について非常に詳しく、赤裸々な記載があります。

マスコミ越しでしか知ることのできなかった彼の生い立ちを知る事が出来る、貴重な本です。正直私は彼の事が嫌いですが、本作は非常に楽しく読む事が出来ました。

おそらく読めば、あなたも堀江貴文に対する見方が変わるはずです。

堀江貴文(ホリエモン)のおすすめ本は、以下の記事にまとめているため、そちらも合わせて一読下さい。

92位 夏の庭 The Friends 湯本香樹実

『人が死ぬところを見たい』子供達の無邪気で残酷な好奇心から生まれた、出会いと成長の物語です。基本的には淡々と進むお話なので、うまく登場人物に感情移入できない方は、途中苦しくなるかもしれません。

しかし、ラストまで読めばきっと気持ちのいい涙を流せるはずです。もし本作品が面白かったのであれば、同作者の『ポプラの秋』、『春のオルガン』もおすすめです。

91位 検索刑事 竹内謙礼

警察に脅迫文が届く。「『羽毛布団』のキーワードで1位を取らなければ、天誅をす」。新人女性刑事の京丸は、SEO業界を捜査する為、様々な会社に向かう。しかし、そこには今まで知らなかった検索エンジンの裏が浮かび上がり、ネット業界の闇が広がっていた。

少々変わった本ですが、あるブログで紹介されていた為、興味を持ち書店で購入しました。微妙なタイトルですが、SEOについて非常に詳細に書かれており、またストーリー回しの上手さもありどんどん読ませます。

ブログを始めたばかりで、中々アクセス数が伸びない人や、SEO対策について困っている人は、ネットの情報を集めるよりも、本作を読んだ方が、きっと頭に入るはずです。

SEOとは何か、果たして行うべきなのか、まずそこを考えさせてくれる本です。ですが正直ブログやホームページを運営しておらず、SEOに全く興味のない人はあまり読むことをおすすめしません。

 

おすすめの面白い小説|90位~81位

90位 アイネクライネナハトムジーク 伊坂 幸太郎

オムニバス形式の短編集ですが、それぞれに意外な相互関係があり、物語の構成や伏線の張り方が絶妙で、読み応えがありました。

また、著者特有の切れのある文章は健在で、読後感も心地よく、佳作と呼べる仕上がりになっています。登場人物の魅力もたっぷりと詰まっており、どこか愛に溢れている作品です。現在文庫本も発売されている為、興味がある方は、是非手に取ってみて下さい!

89位 ラストレター さだまさし

ラジオ局に入社した新米アナウンサーの寺島尚人は、聴取率0%台、誰も聴いていない深夜放送の改革に名乗りをあげます。「みんな小さな人生を生きている。それを伝えたいと誰もが思っている筈です。そんな葉書を……小声で、ただひたすら愚直に読んであげるのはどうでしょうか」と。

たまたま古本屋で見つけ、著者が歌手のさだまさしだったので、興味本位で買ったのですが、ここまで面白い小説だとは思いませんでした。笑って泣ける王道エンターテイメント小説です。

登場人物も個性豊かで、私は深夜この小説を読みながら大爆笑してしまいました。彼の歌のように、心に残る傑作小説です。

88位 ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り ニック・ビルトン

超巨大なSNSサービス『twitter』。この誰しもが馴染みのあるサービスの裏側を余すところなく書いたドキュメンタリーです。一言つぶやけば世界を変える力さえ持つ、「140字のつぶやき」はどうやって生まれたかの赤裸々に記述しています。

創業ストーリーが非常に面白いです。またその中で描かれる骨肉の権力争いについても詳細に描かれています。twitterを使っている人全てに読んでもらいたいと、心から思える一冊です。

87位 RDG(レッドデータガール) 萩原規子

世界遺産の玉倉山の神社で泉水子は学校と家の往復だけで育つ。しかし、高校は幼なじみの深行と東京の鳳城学園への入学を決められ、修学旅行先の謎の存在が現れる。現代ファンタジー最高傑作!

古本屋で見かけ、酒井駒子の表紙のイラストに惹かれ購入。萩原規子の作品は初めて読みましたが、この作品をきっかけに嵌りました。

ファンタジー小説家での経験が長く、情景描写も非常に丁寧で、詰まることなくスラスラ読み進める事が出来ます。

本作は彼女の作品にしては珍しく、とてもおっとりした引っ込み思案な泉水子が主人公です。全6巻ですが、ラストはかなりさっぱり終っているので、出来れば続刊が読みたいと思う今日この頃です。

86位 永い言い訳 西川 美和

人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、妻が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。悲劇の主人公を装うことしかできない幸夫は、妻の親友の夫・陽一に、子供たちの世話を申し出た。

夫婦とは何かを深く考えさせられる作品です。

人は亡くした時に、初めてその存在の大きさに気付くという、普遍的なテーマを扱っていますが、それを緻密な人物描写で丁寧に描いています。

地味な内容であり、万人におすすめ出来る物語ではありませんが、その分リアリティに溢れ、静かで、切ない物語になっています。最終章で語られる主人公の言葉は、読んでいて深い感銘を受けました。

85位 舟を編む 三浦 しをん

一風変わった、辞書の編集のお話です。2012年に本屋大賞に輝き、アニメ化、映画化もされています。私は映画を見た後に、気になってこの原作小説を読みました。

一言で言うならば、優しく温かい作品だと感じました。文体も読みやすく、さくっと読めますが、その分少し重さに欠けるとも思いました。ライトノベルをよく読む人であればきっと読みやすいと感じると思いますが、逆にそうではない人は少し鼻につくかも知れません。

この作品、アニメが非常に素晴らしいので、もし気に入った方はそちらも視聴してみて下さい。

84位 テロリストのパラソル 藤原伊織

新宿に店を構えるバーテンの島崎。ある日、島崎の目の前で犠牲者55人の爆弾テロが起こる。現場から逃げ出した島崎だったが、その時置き忘れてきたウイスキー瓶には彼の指紋がくっきりと残されていた。

直木賞と江戸川乱歩賞をW受賞し話題になった本作。書店で見かけ気になったので購入しました。

ミステリー小説の様ですが、ややご都合主義的な展開が鼻につきました。しかし、物語自体はきちんと伏線が貼ってあり、構成も見事でした。本作は登場する濃いキャラクターが魅力で、ミステリー作品として読むのではなく、ハードボイルド作品として読むことをおすすめします。

83位 ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。

伊坂 幸太郎の名作ミステリー小説。映画化もされています。

正直読み始めは、登場するキャラクターにあまり魅力を感じず惰性で読んでいました。しかし、物語終盤、あるキャラクターが登場してからは俄然面白くなります。

ラストは賛否両論ありますが、私は納得しました。小説なんだからもう少し夢を見たかったという意見も最もですが・・・。伏線も効いていて、プロットは良いのですが、何故この人はこのような行動をとるんだろうという疑問は解決されませんでした。

正直映画はあまりいい出来ではないので、見ない事をおすすめします。

伊坂幸太郎のおすすめ本については、以下の記事も合わせて参考にして下さい。

82位 何者 朝井リョウ

どちらかと言うと、ノンフィクション小説を読んでいるような感覚です。大学時代の就職活動をリアルに描いており、出てくる登場人物も本当に存在しそうなほど良くいる性格をしています。肩書きに異常に拘る人、他人とは違うと思い込んでる人、がむしゃらに頑張る人など、確かに私の周りにも似たような人が居ました。

私は社会人になってからこの作品を読んだので、最初は俯瞰しながら読み進めていましたが、ラストは衝撃でした。まるで作品の中に吸い込まれるような感覚になったのを覚えています。

もう少し高い順位でも良かったのですが、twitterなどのSNSの表現を多用しているので、馴染みのない方には少し入りづらいかなと思いこの順位に選定しました。

朝井リョウの他おすすめ小説については、以下を参考にして下さい

就活を控えている方は必見の一冊です。

81位 この胸いっぱいの愛を 梶尾真治

もう一度、あの時間に戻れるとしたら。そして、やり直すことができるとしたら。大好きだった年上のある女性、出産直後に死んだ母、交通事故で亡くなった息子。過去に戻ってしまった登場人物たちそれぞれの群像劇。

タイトル通り、愛について書いた小説です。読後は本当に胸がいっぱいになります。映画化もされているので、そちらを観た人も多いのではないでしょうか。

作者の有名作、『黄泉がえり』と似た設定ですが、こちらの方が気軽に読めます。本作は映画と違った結末になっていますので、映画のラストが納得できなかった方は、是非小説を読んでみて下さい。

私個人的には、小説の方が断然好きです。

 

おすすめの面白い小説|80位~71位

80位 ソード・アート・オンライン 川原礫

仮想空間に閉じ込められた主人公キリトが、仲間と協力し、ゲーム攻略を目指す話。アニメやゲーム、漫画と様々な媒体にメディアミックスされている為、目にした人も多い作品です。

本作品の登場により、MMORPG世界に入り込むライトノベルが続出したほど、後の作品に影響を与えました。ストーリー自体は基本的には一本調子で読みやすくはありますが、深みはそれほどありません。しかし、シンプルなストーリーは非常に読みやすくはあります。

ファンタジー系のライトノベルを読みたいのであれば、入門書に適した1冊です。

79位 氷菓 米澤穂信

積極的に関わらないことを常とする奉太郎は、高校入学と同時に、姉の命令で古典部に入部させられる。そこで出会った好奇心少女・えるの一言で、彼女の伯父が関わった33年前の事件の真相を推理することになる。

アニメが有名な本作。人気を博したので、観た事がある方も多いと思います。私はアニメを観た後、原作がある事を知り、本作を読みました。

ミステリー小説としては無難な出来です。しかし、古典という珍しいテーマで進む話に私は興味を惹かれました。淡々と話が進むので、起伏の少ない小説ですが、何故かそれが心地好いです。続編はタイトルが異なっているので注意しましょう。

第1話『氷菓』、第2話:『愚者のエンドロール』、第3話:『クドリャフカの順番』、第4話:『遠まわりする雛』、第5話:『ふたりの距離の概算』

78位 何もかも憂鬱な夜に 中村文則

施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している―。どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自分の中の混沌が描き出される。

彼の著書の中で一番好きな作品です。この作品はおそらく辛い経験をした人の方が心に深く刺さると思います。生きる事、死ぬ事について真正面から捉え、その独特の筆致で描きます。

私は根が暗い人間なので、作者の思想に共感出来る部分が多く、それゆえ物語中盤までは読んでいて辛い気持ちになり、ページをめくるのが躊躇われました。

しかし、最期まで読めば、生きる事に対して強い肯定感を持つ事が出来ました。読み手を選ぶ作品かも知れませんが、私のように過去に辛い経験がある人には、是非勧めたい一冊です。

77位 働く男 星野源

俳優に歌手に文筆家にと大活躍の星野源のエッセイ小説です。

私は彼の歌声が好きでよく聴いているのですが、たまたま書店で本作を見つけて、興味を惹かれて購入しました。本書を読むと、彼のユーモアと仕事に対する考え方がそのまま伝わってきて、私は2回ほど読み返しました。

ただの歌手が書いた本と侮るなかれ。本当によく出来ています。そこらのアーティストが書いたファンのみしか喜べないエッセイとは一線を画します。

もし本作品が面白かった場合は、『そして生活はつづく』、『蘇える変態』もおすすめです。

星野源のおすすめ本については、以下の記事に個別でまとめているため、そちらも合わせて参考にして下さい。

76位 コンビニ人間 村田沙耶香

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打つ。完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる。

第155回芥川賞受賞作です。著者の体験を基にしたリアリズム小説となっています。私は初めて読んだ時、この本から奇妙な感覚を受けました。

当初はマニュアル通りに生きてきた主人公が、人生に疑問を感じ、社会と自分の距離感をもう一度測り直す物語を想像していました。そして、紆余曲折有りながらも途中まではその様に話は進みますが、ラストが凄いです。私の想像を完全に超えていました。

おそらく大多数の人は主人公に感情移入は出来ないと思いますが、本作はそうではなく俯瞰的に観る作品です。文体はとても読みやすいので、活字に慣れていない方でも一気に読めると思います。

75位 植物図鑑 有川浩

お嬢さん、俺を拾ってくれませんか。躾のできた良い子です。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。二人の風変わりな同棲生活が始まった・・・。

私の中で変わった設定の物語を書く作家と認識されている有川浩。この作品もまたかなり変な設定です。しかし、さやかと樹のキャラクターが良く出来ており、読ませます。なにより私は等身大のさやかのキャラクターを魅力的に感じました。

イケメンとの生活で様々な感情を抱くさやかに、少し胸が締め付けられます。肩の力を抜いて読める小説ですので、是非読んでみて下さい。

74位 リプレイ ケン・グリムウッド

ジェフは、43歳の秋に死亡した。気がつくと学生寮にいて、どうやら18歳に逆戻りしたらしい。記憶と知識は元のまま、身体は25年前のもの。株も競馬も思いのまま、彼は大金持に。が、再び同日同時刻に死亡

私が読んだSF小説の中でも、特におすすめな作品です。かなり古い作品なので、順位はやや低めにしましたが、人によっては、トップ10に入っていても問題はないでしょう。

何度も何度も人生が続くタイムループとしての設定以外にも、人生について深く考えさせられる作品になっています。人生とは何か、富や名声を得て成功する事が正しいのか、など私は読んでいて様々な事を考えました。

ラストも非常に秀逸であり、読んで絶対に損はない一作です。

73位 忙しい花嫁(花嫁シリーズ) 赤川次朗

赤川次郎の名作サスペンスです。私の家には彼の作品が多くあり、手軽に読める事が彼の一番の魅力です。

本作はシリーズ1作目の作品。現在この花嫁シリーズは、約30冊ほど出版されているほど、人気の作品です。主人公塚川亜由美が、類いまれなる度胸と、運、そして行動力で殿永刑事と事件を解決する物語です。

基本1冊に2話収録されており、すぐ読んでしまえる点もおすすめです。赤川次郎の作品らしくキャラが立っており、亜由美の度胸に惚れる本作。サスペンス好きならば是非ご一読を!

他、赤川次郎のおすすめ本は以下にまとめてあります。

72位 アンデットガール・マーダーファルス 青崎有吾

吸血鬼に人造人間、怪盗、人狼そして名探偵。異形が蠢く十九世紀末のヨーロッパで、吸血鬼が、銀の杭に貫かれ惨殺された。 解決のために呼ばれたのは、人が忌避する怪物事件専門の探偵・輪堂鴉夜と、奇妙な鳥籠を持つ男・真打津軽。

古本屋で表紙に惹かれて購入したのですが、予想以上によく出来たミステリ名作でした。 主人公二人の掛け合いが面白く、何より、練られたプロットよりミステリ作品としても読ませます。

怪物が相手なので、少々強引な展開やご都合主義になってくるのかと思い読み進めていましたが、きちんと論理だって、理論が構成出来ており、破綻している箇所はなく読んでいて清々しかったです。

重い作品のように見えますが、コメディ要素も多いので、敬遠している方もぜひ勇気を持って読んでみて下さい。

71位 たった、それだけ 宮下 奈都

「逃げ切って」。贈賄の罪が発覚する前に、望月正幸を浮気相手の女性社員が逃がす。告発するのは自分だというのに―。正幸が失踪して、残された妻、ひとり娘、姉にたちまち試練の奔流が押し寄せる。

連作形式の感動作です。私は著者の作品に、本小説で初めて触れました。

短篇が連なる構成になっていて、主人公を取り巻く、愛人、妻、娘など、様々な登場人物の視点から物語は描かれます。 正直な話、読み始めの数編は読後感も悪く、不満が募りましたが、話が進むに連れ、この作品が持つ深さに気付き、没頭しました。

読むたびに発見がある、奥行きの深い作品です。連作小説に興味のある方は、是非一度読んでみて下さい。

 

おすすめの面白い小説|70位~61位

70位 蜜蜂と遠雷 恩田 陸

ピアノコンクールを舞台とし、才能や運命、そして演奏を描いた青春群像小説です。

2017年の本屋大賞を受賞している作品で、映画化も予定されています。 500ページ超に及ぶ長編ですが、それぞれのキャラクターが立っており作品を牽引します。

また、葛藤もきちんと描かれおり、時に残酷で、それ故に儚く美しい様は、まさしく青春群像劇と言える仕上がりでした。 特にピアノ演奏時の表現は非常に良く、本から音楽が溢れ出てくる様な錯覚を覚えた稀有な著書でした。

少々毛色は異なるかも知れませんが、音の温かさや、人間模様を深く掘り下げる物語は、ピアノ漫画の傑作『ピアノの森』に通ずるものを感じました。もし上記漫画が好きな方は、小説だからと毛嫌いせずに読んでみると良いかもしれません。

69位 ちょっと今から仕事やめてくる 北川恵海

ブラック企業に勤務する主人公隆は、心身ともに疲れ果て、線路に飛び込み自殺を図ろうとします。しかし、それをヤマモトという男に遮られます。同級生を名乗る彼を、隆は信用していましたが、ふとネットで彼を調べると、実は3年前に既に鬱で自殺していました・・・。

泣ける一作です。私は本書をたまたま書店で見かけ、読みました。その時は仕事が辛い時期だったので、それも合わさり、涙でぼろぼろになりながら読んだのを覚えています。

何のために働いているのか分からなくなった時、仕事が辛くなった時に読んでもらいたい作品です。きっと心が軽くなるはずです。

68位 将棋の子 大崎善生

奨励会では、全国から集まったトップレベルの子供たちが、数少ないプロへの椅子を取り合い淘汰が行われます。その中でその椅子に座れなかった子供たちの、その後を描きます。プロになれた者、なれなかった者のその後はあまりにも違います。正直ページを繰るのが苦しく、胸が締め付けられました。

筆者は長年将棋の編集をしており、非常に近い距離にて椅子に座れなかった彼らを描きます。その温かなまなざし、そして愛のある文体に私は強く感動しました。

漫画、ヒカルの碁の院生時代が好きな方は、絶対に読むことをおすすめします。

67位 西の魔女が死んだ 梨木香歩

傑作ヒューマンドラマ小説。学校に行くことを拒否していた主人公まいは、英国人の祖母家に預けられることになります。まいは、祖母から様々なことを学び成長していきます。

優しい筆使いと、瑞々しい描写で美しいです。何よりラストは胸に来るものがあり、私は電車内でこの小説を読んでいましたが大勢の前でも涙が止まりませんでした。温かなお話で、読むと自分を見つめ直すことが出来ます。

66位 武士道シックスティーン 誉田哲也

武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず、お気楽不動心の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たす。

気持ちのいい青春小説です。私は高校時代、剣道部だったので、この作品は余計に思い入れが強かったです。

映画化、漫画化のメディアミックスもされているので、もしかしたら街中で見かけたことがあるのではないでしょうか。

香織と早苗の相反するキャラクターが絶妙にマッチしています。試合も白熱し、青春時代を思い出します。作品の根底には武士道という骨太のテーマがある為、大人が読んでも子供が読んでも面白い作品です。『武士道セブンティーン』、『武士道エイティーン』と続く三部作。『武士道ジェネレーション』はちょっと微妙なので読まない方がいいかも知れません・・・。

65位 ハゲタカ 真山仁

傑作経済小説です。バブル崩壊後、暗躍するハゲタカファンドを描いた作品。私はバブルが終わった後に生まれたので、バブル期の日本を知らないのですが、非常に詳細な描写がある為、良く理解出来ました。

もともと半沢直樹シリーズにはまり、似たような作品がないかと探していた所、本作を見つけました。

主人公の鷲津政彦の人間性に魅了される面白い小説です。著者の他作品として、『レッドゾーン』や『コラプティオ』もおすすめです。

64位 晴天の迷いクジラ 窪美澄

デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。

『ふがいない僕は空を見た』を描いた窪美澄の作品です。その変わった題名に惹かれた事がきっかけで購入しました。

正直読んでいて辛い場面が何度か出てきます。物語は淡々と進みますし、展開に驚くような作品ではありません。しかし、私は深く引きこまれました。登場人物の各々が持つ傷が、私の過去と重なり、知らぬ間に窪美澄が生み出す透明な世界に吸い込まれる錯覚を受けました。そして涙がぽつぽつと零れました。

生きることを深く考えさせられる作品です。後味の良い作品なので、何か過去にトラウマがある人ほど、是非読んでもらいたいです。

63位 ウェディングドレスはお待ちかね(南条姉妹シリーズ) 赤川次朗

名門南条家の麗子と、お嬢様であるのに暗黒通りのボスである美和。この二人の織り成す恋と冒険の物語です。

キャラが濃く読んでいて非常に楽しいです。お互いかなり度胸のある性格で、胸を熱くし、二人の活躍をハラハラドキドキしながら読み進める事が出来ます。何より、二人は自分のこと以上にお互いを思いやっており、そのような熱い友情を優しい気持ちになれます。

赤川次郎のエンターテイメント作品、 ドタバタが好きな人は是非一読を!

他、赤川次郎のおすすめ本は以下の記事を参考にして下さい。

62位 夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

本作は順位を何位にするか、非常に悩みました。彼の著書は非常に独特な文体で、好き、嫌いがはっきり分かれます。好きな人で有れば、おそらく本作はベスト5に入っていてもおかしくないですが、嫌いな人にとっては100位にもランクインしません。

舞台は京都で、飄々としたユーモア溢れる文体から、冴えない男と純情な女学生のすれ違いの恋物語を描きます。ファンタジー要素も絡まり、本当に独特の世界観です。

未読の方は一度読んでみましょう。もし彼の世界を受け入れる事が出来たのであれば、きっと他の作品も読みたくなるほどハマってしまうはずです。

61位 ハサミ男 殊能将之

美少女を殺害し、ハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。

ミスリードのさせ方が非常に上手く、大量の伏線を張った巧みなストーリー構成で読者を魅了します。

シリアルキラーが登場する為、殺人シーンも勿論出てきますが、描写はそれほどグロテスクではないので、よほど耐性が無い方以外は大丈夫です。タイトルからサイコサスペンスのようにも取れますが、本作は純粋な推理小説です。

ラストのどんでん返しは圧巻。きっとあなたも騙されるはずです。

 

おすすめの面白い小説|60位~51位

60位 黄泉がえり 梶尾真治

草彅剛と竹内結子が演じた映画が話題になった本作。しかし、私は断然原作の小説をおすすめします。映画も良く出来てはいますが、この本の全てをわずか2時間足らずの映像に収めるのは無理があります。それほどまで、魅力に溢れた1作です。

泣ける物語です。とにかく読んでいて涙が止まりません。

蘇った人も、その周りの人たちも、思いがあまりに切なすぎて、小説からは叫びにも似た哀しみが発せられます。私は途中あまりに涙が止まらなく、読書を中断してしまうほどでした。

強く、切なく、切実な願いの物語です。

59位 対岸の彼女 角田光代

過去に親友のナナコと家出を経験した葵は、現在はベンチャー企業の社長を務めています。また、専業主婦の小夜子は葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めました。立場が違う様々な女性が登場し、友情と亀裂、そしてその先にあるものを、切なくリアルに描く傑作長編です。

非常に読みやすい文体で、詰まることなくスラスラと読めます。また構成も凝っており、小夜子を主人公にした章と、葵を主人公にした章が交互に進んでいきます。読み進めていくうちに何故葵がこのような性格になったのかが判明していきます。

人間の心の狭さや、愚かな行動に辟易する場面もありますが、読後は非常に清々しい気分になれる小説です。是非女性に読んでもらいたい作品です!

58位 翼はいつまでも 川上健一

初恋と友情、少年と少女の永遠のひと夏。中学2年生の時に初めて聞いたビートルズで、さえない僕の人生は変わった。冒険、憧れの少女との交流。ひと夏の思い出が蘇る。第17回坪田譲治賞受賞の清冽な青春小説。

読後感の良い、青春小説の秀作です。まさしく説明文の通り、学生時代の夏の思い出が蘇りました。少年の、少女の純粋な思いが文章に滲み出ている様で、ゆっくりと読者の心に沁み渡っていきます。

本作について私は学生時代に一度読み、今回のエントリーを書くにあたりもう一度読み直しましたが、大人になってから読むと、学生の時とは違い、胸がチクリと痛みました。もうあの時代には戻れないと、本書を読んで実感してしまったからかも知れません。

一時しかない、宝石の様に輝く青春をそのまま詰め込んだ作品です。爽やかな気分になりたい時は是非一読を。

57位 1Q84 村上春樹

村上春樹作、長編小説。BOOK1からBOOK3まであります。通常の1984年とは異なる1Q84年の世界に迷い込んだ青豆と天吾の話を描きます。

謎が多く、不思議な空間である1Q84年をまるで現実であるかの様に書き記す作者の力は素晴らしいです。起伏ある展開で、先へ先へと読者を誘います。ラストは賛否両論あり、私ももう少し説明が欲しかったかなと思いました。

他、村上春樹のおすすめ本は以下のエントリーに記載しているため、参考にして頂ければ幸いです。

56位 ターン 北村薫

真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子から目覚める自分がいた。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。

タイムリープ小説です。しかし、本作はサスペンスではなく純文学です。時間をテーマとし、その大切さを丁寧に教えてくれる作品です。

平坦な文章ながら主人公のキャラクターが温かく、読んでいて爽やかな気持ちになれます。途中少し中弛みする場面も有りますが、電話をきっかけに事態は急展開を迎え、そこからは目を文字から離すことが難しくなりました。

読むと生きる事に前向きになれる作品です。人生に疲れた時にどうぞ。

55位 殺戮にいたる病 我孫子武丸

私は著者をサウンドノベルゲーム『かまいたちの夜』で知りました。そこから興味を持ち、本作を手に取りました。前評判通り、かなり描写がグロテスクであり、顔をしかめながら読み進めました。しかし、最期の数ページは思わず『えっ?』と言ってしまうほど驚きました。

読み返して改めて感じましたが、構成が巧みで、伏線の張り方が絶妙な作品です。もしラストが先に分かった人が居るなら、私は天才だと思います。

グロ要素に耐性のある方なら、是非読んで、ラストで驚いてもらいたい作品です。

54位 とらドラ 竹宮ゆゆこ

友人から激押しされて読み始めた本作。文体に癖があるので、苦手な人はストーリーの良し悪しを判断する前に、それだけで逃げてしまうかも知れません。

私も正直読み進めるのが辛かったのです。友人からは『5巻までは絶対に読め』と言われていたので、我慢して読みました。

そして5巻を読み終わった後は、一気に最終巻まで読みました。それほど面白かったです。単純なラブコメではなく、果てしない重さを持っています。

イラストや文章に惑わされず、内容を見て下さい。巧みな心理描写や、切ないという言葉では説明できないほど残酷な描写もあります。

53位 スコーレNo.4 宮下 奈都

自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。

『たった、それだけ』で筆者の作品に触れ、他の作品も読んでみようと、手にとった一作です。 女性目線という事で、読むのに少々躊躇いがありましたが、読了後はそんな不安など吹き飛びました。

清涼感のある、繊細で透明な物語です。ストーリーには等身大のリアルな女性の心の成長が描かれています。2016年の本屋大賞に選出された事も頷ける作品です。

52位 還るべき場所 笹本稜平

ヒマラヤのK2。未踏ルートに挑んでいた翔平は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの聖美を失ってしまう。事故から4年、失意の日々を送っていた翔平は、登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。パーティに次々起こる困難、交錯する参加者の思いを描く。

漫画『岳』で山岳作品はまり、何か小説で面白い山岳作品がないかと探した時に、たまたま手にした一冊です。私はこの本を選べて運が良かったと本当に思いました。

圧巻の迫力で、大自然の猛威を描きます。高度8000m、狂ったように吹き荒れる暴風雪の中、皆が極限状態での息詰まる攻防は、必見です。私は寝る間も惜しんで本書に没頭しました。

大自然の迫力、主人公の葛藤、山との対話を丁寧に時に激しい筆致で描きます。誰が読んでも面白く、心揺さぶられる作品です。

51位 スティーブ・ジョブズ ウォルター・アイザックソン

IT界の巨人、スティーブ・ジョブズの生涯を追ったドキュメンタリー小説。非常に客観的な視点から描かれており、伝記作家であるアイザックソンの力量が伺えます。

長編ですが、ジョブズの人生はまるでフィクションのように波乱に富んでおり、彼の個性的なキャラクターも相まってぐいぐい読ませます。私達が手にしている端末や、PCがどのようにして出来たのか。その一端を彼の人生を通して知ることが出来る、非常に貴重な一冊です。

私はドキュメンタリーはあまり読みませんが、この作品は胸を張っておすすめできる一作です。

 

おすすめの面白い小説|50位~41位

50位 グレート・ギャツビー スコット・フィッツジェラルド

栄華に生きる男ギャツビーの胸中には、失った恋人デイズィを取りもどそうとする異常な執念が育まれていた。第一次大戦後のニューヨーク郊外を舞台に、狂おしいまでにひたむきな情熱に駆られた男の悲劇的な生涯を描く。

私は本書を『ノルウェイの森』を読んで知りました。初めて読んだスコット・フィッツジェラルドの作品になります。

正直本作は訳も難解で、かなり読みにくいです。私は初めて読んだ時はリタイアしそうになりました。しかし、しばらく時間を空け、もう一度読み返すと情景がより濃く頭に思い浮かび、一度目より深く作品に入る事が出来ました。

非常に悲しい物語ですが、きっと読めば、何故この作品が多くの人の心を捉えているのかが理解出来るはずです。ぜひ一度の読書で理解できなかった方は、私のように時間をおいて読み直してみて下さい。

20世紀のベスト100小説の中にも選出されている本作。読んでみて損はないです。

 

49位 スロウハイツの神様 辻村深月

ランクインさせるか迷いましたが、個人的にかなり好きな作家なので、今回紹介します。本作は赤羽環が所有するアパートに、漫画や映画やイラストの世界を目指す卵たちと、人気小説家であるチヨダ・コーキが一つ屋根の下に暮らすというストーリーです。簡単に言うと、まさに現代版トキワ荘といった物語です。

私自身漫画を描いていたので、この設定にしびれました。作者の描写は優しく、登場人物が丁寧に描かれている為、自然と感情移入する事が出来ます。

淡いヒューマンドラマです。優しい気分になりたい時は是非一読を。

48位 七瀬ふたたび 筒井康隆

本作は刊行されたのが昭和50年であり、かなり昔の本ですが、超能力サスペンスの金字塔的作品です。

美しき超能力者火田七瀬。その能力を持がゆえに、命を狙われ、他の能力者と協力してそれを乗り越える様は手に汗握ります。

異端の能力を持っているがゆえの葛藤や悩み、七瀬はテレパス能力を持っていることから同胞からも敬遠される孤独感。それらが重なり、非常に考えさせられる作品となっています。

迫力の文体は読みやすく、頭に直接主人公の叫びが響いてきます。難しいテーマを抜きにしても、エンターテイメント作品としても一級品です。

他の、筒井康隆のおすすめ本は以下の記事に記載があります。

47位 ゲド戦記 織田まゆみ

ゲドは、自分にふしぎな力がそなわっているのを感じ、真の魔法を学ぼうと、魔法使いの学校に入る。進歩は早く、得意になった彼は、禁じられた呪文を唱え、死の国の影を呼びだしてしまう・・・。

ジブリが映画化したことで有名な本作。映画を観た人は多いですが、原作小説を読んだことのある人は少ないのではないでしょうか。

正直、映画は内容の詰め過ぎで、お世辞にも良いと呼べる作品では無いですが、原作小説はただただ素晴らしいです。私の人生において大切な本のうちの一つです。本作はファンタジー小説としても非常に優れており、読み始めると手が止まらなくなるのですが、まるで哲学書のように多くの学びもあります。

46位 はてしない物語 ミヒャエル・エンデ

私はこの本を近くの図書館で借りて読みました。確か中学生の時だったと思います。今回このエントリーを書くに当たってもう一度読み直したのですが、大人になってもこの本から得られる感動は変わりませんでした。

ただのファンタジーではなく、テーマが非常に深く、そして物語としても驚きに溢れ、面白く読みやすい本です。書籍自体も非常に凝っており、物語の中で登場する本と全く同様の作りになっています。

中盤、本当にこの本の中で主人公が冒険してると思えるくらい、作品に入り込む事が出来ます。個人的にかなりおすすめのファンタジー小説の傑作です!是非ご賞味下さい。

45位 新世界より 貴志-祐介

ここは病的に美しい日本(ユートピア)。子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。社会を統べる装置として・・・。

圧倒的スケールで描く、著者の代表作。上下巻で1000ページを超える大作で、緻密に構築された世界に引き摺りこまれます。

著者の今までの技術が全てつぎ込まれており、SF、ホラー、青春、サスペンスなどをごった煮した内容であるが、そのすべてにおいて非常によく描けています。本作はコミカライズ、及びアニメ化もされていますが、まずは原作を読んでもらいたいです。

壮大すぎる世界観の為、始めは説明が長くやや冗長に感じますが、下巻からは一度も手を止める事が出来ない程白熱します。

44位 勝ち続ける意志力 梅原大吾

2010年8月、最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマーとしてギネスに認定された。職業、プロ格闘ゲーマー。本作では、世界一になって、そして世界一であり続けることによってしか見えなかったこと、について話す。

私は元々格闘ゲームを見ることが好きで、彼の存在はしっていました。彼が日本人初のプロゲーマーになったという知らせを聞き、興味本位で彼の著作を購入しました。

プロになるという事を真摯に書いており、「勝つこと」と「勝ち続けること」の違いを非常に分かりやすく、腹落ちする形で綴っています。目標を立てる事の重要性と、努力の価値をここまで分かりやすく書いた書籍も中々ありません。

物語としても、彼がゲームにのめり込んだ学生時代、麻雀や介護職をしていた時代の話は、詳細な記載や気持ちの変化があり面白かったです。

自己啓発としても、物語としても楽しめる大事な一冊です。

43位 フェルマーの最終定理 サイモンシン

3以上の自然数nに対してXn+Yn=Znを満たすような自然数X、Y、Zはない。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」。17世紀にフェルマーが残した超難問を、数学者ワイルズが1995年に完全証明した。数学をめぐる「歴史ドラマ」を、分かりやすく感動的に描いた傑作。

本作について、私はやる夫スレで知り、それがあまりに面白かったので、購入するに至りました。

題名の通り、超難問とされるフェルマーの定理が証明されるまでの人間ドラマを描いた作品ですが、数学の知識がなくとも非常に読みやすい作品です。何より、数多の数学者達の血と汗と涙の努力が読者の心を打ちます。

数学の歴史を興味深く学べる一冊です。ヒューマンドラマとしても、数学小説としても太鼓判を押せる、間違いなく面白い作品です。

42位 エラゴン 意思を継ぐ者(ドラゴンライダーシリーズ)クリストファー・パオリーニ

竜と心を交わした者だけが、『ドラゴンライダー』になることができる。少年にとって、それは伝説のなかの話だった。森で青く輝く石を見つけるまでは―。

王道ファンタジー長編。作者にとってこれが処女作ですが、文章も構成も非常に練られており、何よりサフィラと名付けられたドラゴンが可愛いです。

人間、エルフ、ドワーフ、ドラゴンなど、ファンタジーならではの様々な種族が登場します。 ハリーポッターが好きな人ならば、まず間違いなく楽しめる作品です。映画化もされているので、そちらで興味を持った方は、是非原作も読んでみて下さい。

ファンタジーの世界にどっぷりと浸かれるはずです。

41位 役員室午後三時 城山三郎

某紡績会社の経営について、フィクションを交えつつ描いた作品。ワンマン社長である藤堂と、その腹心達との会社を巡った争いを描きます。

文体が非常に洗練されており、読者の心にそのまま届いてきます。腹心達が社長に辞意を促すシーンは必見。読んでいて鳥肌が立ちました。私はこの小説を大学の授業にて読みましたが、これがきっかけで経済小説にはまったほどよく出来た作品です。他この著者でおすすめの作品は『官僚たちの夏』、『価格破壊』など。

 

おすすめの面白い小説|40位~31位

40位 クライマーズ・ハイ 横山秀夫

85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。

地方新聞社という組織にスポットを当てた本作。その中で起こっている醜い派閥争い、しがらみ、閉塞感をリアルに描写します。元々作者は群馬の地方新聞の記者であった為、本当に存在する会社のような臨場感のある記載に驚きました。

日航機事故に沸騰する記者たち。それを機に、社内では社長派と専務派による権力闘争が行われます。私は読んでいて、憤りを感じたり、登場人物に対して怒りを抱くほど、感情が昂ぶりました。

本作品は、主人公の山登り仲間の滑落事故や、家庭問題が並行して語られます。それぞれのストーリーがしっかり絡み合って、非常に重厚な作品になっています。生きる事の機微を謳った名作です。

39位 69(sixty nine) 村上龍

村上龍の傑作青春小説。私は本作を読むまで、彼の作風はシリアスなものばかりでギャグとは対極にいる作家かと思っていました。

しかしこの作品は、単純で明るく陽に溢れたような青春小説です。思わず噴き出してしまうシーンも多く、衆人環境下で読むと、恥をかいてしまう可能性がある為、注意して下さい。

学生でも大人でも楽しめる、傑作エンターテインメント作品です。

38位 マイナス・ゼロ 広瀬正

1945年の東京。浜田少年は息絶えようとする隣人の先生から頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械―それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。

日本SF小説の金字塔であり、多くの作家たちに多大な影響をあたえた傑作です。 タイムパラドックスで生じる矛盾を上手く解消できており、緻密に張られた伏線が、物語終盤で一気に回収される様は、読者に強いカタルシスを与えます。

タイトルの意味も、読了後には納得できました。SF小説を探している方は、一度読んでみましょう。

37位 麻雀放浪記 阿佐田哲也

賭博小説の金字塔です。少々順位を高くつけすぎた気もしますが、私は本当に好きな作品です。実家に何故か1冊だけあり、興味本位で読んだ事が始まりで、これをきっかけにして、私は麻雀を覚えました。

本作は漫画化もされているので、そちらで見た人の方が多いかもしれませんが、是非原作も読むことを推奨します。

ドサ健、出目徳との対決シーンは、ヒリヒリとした博打の熱が本当に文字から発せられているようで、読んでいて身体が火照ります。また、博打の技術についての豊富な解説もある為、読んでいて納得する部分も多いです。

本作は麻雀の牌姿が随所に出てくるため、麻雀のルールが分からない方には少々敷居が高いですが、賭博小説を読んだことのない人は、まず読んでもらいたい作品です。

36位 人間失格 太宰治

太宰治の代表作。学校の授業で読んだ方も多いのではないでしょうか。学生の頃一度読んで、その時は何も感じなかった作品ですが、大人になってから読み返すと、読了後は様々な思いが頭を去来しました。

彼は自身の闇を文字に落とし込む事が本当に上手い作家だと思います。赤裸々に語らている、生きづらさ、虚無感はどこか普通に生きる私達も感じた事の有るもので共感出来ました。文体や表現なども素晴らしいですが、人を選ぶ作品です。

もし学生の方でこれを読んで意味が理解できなかった方は、時間をおいて、もう一度大人になった時に読み返してみましょう。

35位 永遠の0 百田尚樹

大ヒットした映画の原作小説です。メディアにも大きく取り上げられたので、鑑賞した方も多いのではないでしょうか。映画を見て感動した人は、是非本作品も読んで頂きたいです。

天才的な操縦技術を持ちながら、生きることに頑なに拘り続けた宮部久蔵の姿は読者に深い感動を与えます。

戦争中、死ぬことより生きることの方がこれほど苦しいのかと読んでいて何度も思いました。実話かと思うほどの素晴らしい描写です。私はこれ以上感動した戦争小説をまだ知りません。

34位 伊豆の踊り子 川端 康成

ノーベル賞作家、川端康成の代表的名作です。

私は彼の文体が好きで、この短編集は何度読み返したかわからない程読んでいます。青年の心情の変化を、鮮やかな筆致で描く青春小説です。踊り子の描写も素晴らしい。

私は好きな作品を挙げる時に、このように何度も読み返せる作品をまず挙げます。どこから読もうと、そこには川端の世界が広がっていて、すぐにその美しく抒情的な世界に埋没出来ます。

出版社によって、構成が違い含まれている短編が異なりますが、集英社文庫に含まれている『温泉宿』の短編も個人的にはおすすめです。荒木先生の表紙もいい味出してます。

33位 獣の奏者 上橋菜穂子

上橋菜穂子のファンタジーワールドの開幕ともいえる作品です。人には決して従わない王獣と、心を通わせる事が出来た主人公エリンの物語です。

本作はファンタジー小説ですが、甘くふわふわした雰囲気ではなく、エリンの深い葛藤を見る事が出来ます。

エリンの持つ信念を貫く事によっておこる、疑問や矛盾。それに葛藤し、心だけでなく肉体もぼろぼろになりながらも、前に進む事を諦めないエリンの姿が、読者の心を強く惹きつけます。

作者は全2巻で完結予定でしいたが、読者のラブコールから続刊を出しています。正直それは非常に面白かったのですが、ラストがどうしても腑に落ちませんでした。もう少し違ったエンディングを観たかったな・・・と。

しかし、作品の完成度は折り紙つきなので、ファンタジー好きの方なら必読です。

他の、上橋菜穂子のおすすめ小説は以下の記事に個別でまとめています。

32位 アンネの日記 アンネ・フランク

ホロコーストを避けるため、隠れ家に潜んだ、家族のお話です。有名な作品ですので、学校の授業などでも見かけた事があるのではないでしょうか。

本作は潜伏生活をアンネが詳細な日記に記しており、それを書籍化したものになります。とても瑞々しい文章で、小説全体から『生きたい』という彼女の強い希望が伝わってきます。

しかし、この作品は著者のアンネ・フランクの死亡により途中で終わっています。読了後、強制収容所でのアンネの生活を思い浮かべると、切ない気持ちになります。

31位 夢をかなえるゾウ 水野敬也

ダメダメなサラリーマンの前に突然現れた関西弁を喋るゾウの姿をした神様ガネーシャ。 成功するために教えられたことは「靴をみがく」とか「コンビニで募金する」とか地味なものばかりで・・。

こういうおすすめランキングでは必ず入ってくる1冊。自己啓発本としては、他のどの作品よりもよく出来ています。コメディ要素が強く主人公とガネーシャの掛け合いを楽しみながらどんどん読めます。

しかし夢を叶える為のエッセンスをその中に注入しており、楽しむだけでなく、読んだ後は非常に考えさせられる小説です。文字が嫌いな人でも読みやすい作品なので、何かに行き詰ったり、夢を追っている人は、一読する事をおすすめします!

 

おすすめの面白い小説|30位~21位

30位 大地の子 山崎 豊子

陸一心は敗戦直後に祖父と母を喪い、娘と生き別れになった日本人戦争孤児である。彼は文化大革命のリンチを受け、労働改造所に送られて、スパイの罪状で15年の刑を宣告された。

残留孤児というワードはよく耳にしますが、それがどのような事を意味するのかが、私は本著を読了するまで、分かっていませんでした。

綿密な取材の基描かれた、壮大な人間ドラマが繰り広げられます。全4巻と長編ですが、一気に読むことが出来ました。

日本人戦争孤児という重いテーマを真摯に描き、不条理で、カオスな世界の中、死に物狂いで、狂気に抗う主人公の姿に心を強く打たれます。 ヒューマンドラマという点だけでなく、歴史を知る面でも是非読んで貰いたい1作です。

29位 リバース 湊 かなえ

趣味がコーヒーを飲む事だけである、平凡なサラリーマン深瀬にようやく、恋人が出来ます。しかし、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれた謎の告発文が、彼女に送られます。

筆者の作品らしく、人が内に秘める、暗く醜悪な部分を淡々と描きますが、著者の他作品よりは、やや毒は薄めに感じました。 主人公深瀬の劣等感に私は共感出来る点がありましたが、人によっては、卑屈で内省的な性格を不快に思うかもしれません。

ラストまで、読めば本タイトルの意味が良く分かり、信じられない程のカタルシスを得る事が出来ます。どんでん返しがあった後、更に最終頁で深みに落ちる構成は、見事としか言いようがありませんでした。

それを体感するだけでも十分読書価値があるので、ネタばれは絶対にない状態で読みましょう。

湊かなえの他のおすすめ小説については、以下の記事を参考にして下さい。

私は小説を読んでここまで鳥肌がたった事は久しぶりですが、そこに至るまでが、やや冗長に感じてしまったので、その点はマイナスとしました。 

28位 ハーモニー 伊藤計劃

今は亡き天才、伊藤計劃の作品。

『大災禍』により従来型の政府は壊滅し、『生府』と呼ばれる新たな組織が世界を統括し、より高度な医療経済社会が築かれました。主人公トァンはそんな社会に疑問を抱きつつ、監視事務局の上級監察官として働いています。

伊藤計劃の作品らしく、世界観が非常に凝っており、実際にこのような未来が到来するのではないかと思わせるところが素晴らしいです。人類が公共のものとして働く世界が到来し、その更に先に人類はどのようになるかまで描いた作品。

ラストは必見です。虐殺器官からの続編になる為、未読の方はまずはそちらから読むことをおすすめします。

27位 恋 小池真理子

浅間山荘事件の蔭で、一人の女が起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年の出現によって生じた軋みが三人の微妙な均衡に悲劇をもたらした。

傑作です。本作は彼女の代表作ですが、私はこの作家に出会えて本当に良かったと、本書を読んだ後、心の底から思いました。

美しいです。その洗練された筆から表現される舞台描写もそうですが、何より人物の思いが、背徳感が、陰惨なシーンも合わせて、全て美しかったです。心理描写も非常に巧みで、物語序盤から否応なしに引きずり込まれます。

もし、恋愛小説が好きで本作を読んでいない人は、小説を読んでいないのと同義であると思うくらい、他の作品にはない感動がありました。ラストは哀しいですが最高に綺麗でした。私は涙が止まらず、ぐしゃぐしゃの顔で読み進めました。

小池真理子の作品はほとんどハズレが無いので、本作が面白かった方は他作品も是非。『冬の伽藍』、『沈黙のひと』などは個人的におすすめです。

26位 天地明察 冲方丁

 四代将軍家綱の治世、ある事業が立ちあがる。それは日本独自の暦を作ること。当時使われていた暦は正確さを失いずれが生じ始めていた–。日本文化を変えた大計画を個の成長物語として瑞々しく重厚に描く時代小説!

綿密な取材・調査の基に描かれた、重厚な歴史小説の傑作です。派手なアクションがあるわけではないので、小説にエンターテイメントのみを求める人にとっては退屈なものになるかも知れません。

しかし、江戸時代を生きた主人公渋川春海を通して、読み手は多くの情報を得る事が出来ます。日本独自の暦を作るという、一大事業を成し遂げた過程、苦労、そして血の滲むような努力が、実に見事に描かれています。

私はエンジニアなので、このような技術者の悪戦苦闘は、読んでいてどうしても 肩入れしたくなる場面が多かったです。

25位 図書館の魔女 高田大介

少年キリヒトは、最古の図書館を統べるマツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたない若き少女だった。

緻密な計算の元構築された、ファンタジー小説の佳作です。ファンタジーと銘打っていますが、魔法は登場せず、魔女マツリカは膨大な知識と言葉を用いて、策を巡らせます。

キャラクターの深堀も出来ており、登場人物はみな魅力的で、私は読んでいて、マツリカとキリヒトを非常に愛おしく感じるほどでした。

また、空想的でご都合主義でない、地に足付いた重厚なファンタジーの世界観を、真摯に構築出来ている点が非常に好印象でした。 著者は本作品がデビュー作の様ですが、それを感じさせないほど、強い熱量と深い洞察に満ちた意欲作です。

刺さる人であれば、他名作ファンタジー小説よりも、心の奥底に深い感動をもたらし、忘れられない物語になると思います。 ただ、本を読み慣れていない方にとっては、説明がやや冗長に感じてしまうであろう部分があった為、その点はマイナスとしました。

24位 空ろの箱と零のマリア 御影瑛路

3月。中途半端な時期にやってきた転校生・音無彩矢。そのあまりの美しさに息を呑む教室の中で、彼女は教壇に立ち、無愛想にただ自分の名前だけを告げた。教室全体が次の言葉を待っていた、その時―。「星野一輝」―呼んだのは、何故か僕の名前。

タイムループ物の傑作です。

ラノベだから・・・と舐めて読んでいたら、腰を抜かすかも知れません。非常に綿密なプロットと構成により、読者をひきつけ、一転、二転、三転と物語が転がります。サスペンスをよく読む人でも、驚きの展開だと思うので、是非読んでもらいたいです。

本作は少々グロ要素もありますので、耐性がない方は少々注意を。また、萌え要素もほぼないので、そのような事を期待している人は読まないことをおすすめします。

私は本作をライトノベルというよりは、通常のサスペンス小説を読むような気持ちで読んでいました。

23位 白夜行 東野圭吾

ノワールの傑作。そう、これはミステリー小説ではなく、抒情詩です。 ドラマ・映画化もしましたが、圧倒的に原作小説が良いです。主人公の桐原亮司と唐沢雪穂は、共有する重大な秘密を隠蔽するために嘘や犯罪を重ねます。

本作は他の東野作品とは違い、非常に重く、また独特の冷たさに満ちています。この作品の特徴的な点として、主人公達の心理描写が全くないことが挙げられます。客観的な視点から、主人公たちの行動は描かれるので、それが読み手に様々な想像をふくらますきっかけになります。

井戸の底のような仄暗いお話ですが、展開の面白さで読者を否応なしに引きずります。ラストは賛否両論ですが、私はありだと思いました。

22位 模倣犯 宮部みゆき

宮部みゆきによる長編サスペンス小説。

彼女のサスペンス著作は基本的には非常にリアルな描写をしています。本作品もそれに漏れず、警察組織の官僚的対応や、マスコミの対応、事件勃発後、ぐちゃぐちゃに振り回される家族などを本当に存在するかの様に書いています。

プロットも素晴らしく、リアルな舞台の中読み手を惹きつけます。救いのない展開なので、そういう結果に態勢のある人が読むことをおすすめします。メディアミックス済で、映画・ドラマと発表されていますが映画はひどい出来なので見ない方が懸命です。

他、宮部みゆきのおすすめ本は以下を参考にして下さい。

21位 図書館戦争(図書館戦争シリーズ) 有川浩

好き嫌いの分かれる作品です。ライトノベルに似た表現や文体に辟易してしまう人もいるかも知れません。しかし、各々のキャラクターは非常に立っており、それぞれの掛け合いが笑えます。本作の魅力は、突飛な設定や舞台ではなく、そういうキャラの濃さにあると言っても過言ではありません。

少女漫画的な嫌な表現や、設定について矛盾を感じてしまう場面もありますが、私はそこまで気にならず、フィクションとして受け止め、素直に読む事が出来ました。

おすすめの面白い小説|20位~11位

20位 街 サウンドノベルエボリューション

本作は小説ではなく、サウンドと共に楽しむサウンドノベルという作品です。正直今回ランクインさせるかどうかかなり迷いましたが、どうしてもこの素晴らしさを少しでも多くの人に知ってもらいたいと思い、今回選びました。

ジャンルとしてはゲームになりますが、基本的に文字を読むので小説に近い感覚です。8人の全く異なる主人公が複雑に絡み合い、物語は進みます。お腹を抱えるほど笑える話や、涙腺が壊れたかと思うほど涙する話など、多種多様なエピソードが絡む展開は他小説では絶対に味わえないです。

もし、少しでも興味をもったのなら絶対にプレイする事をおすすめします。EASYモードであれば選択肢も少なく殆ど小説を読んでいる感覚なので、初見の方はそのモードでプレイする事をおすすめします。今でも熱狂的なファンが多数存在する事がよく理解できるはずです。

19位 キノの旅 時雨沢 恵一

キノと相棒の喋る二輪車エルメスとで、旅をしながら様々な国をめぐる読み切り型の短編ファンタジーです。

寓話の要素が強い作品で、独特の設定をベースに話は進んでいきます。万人向けに書いている為、文体は癖が無く読みやすく、短い短編も相まって空いた時間にさらっと読める作品です。私がライトノベルの中では一番読み返しているのが本作です。

私は、このような寓話を扱った漫画作品の『王ドロボウJING』が大好きなので、同様にこの小説もはまりました。

椅子に深く腰掛け、文字を追っていると、ゆっくりとその世界に入り込めます。現在20巻まで刊行されているので、きっとあなたの心に残る短編があるはずです。

18位 竜馬がゆく 司馬 遼太郎

司馬 遼太郎の代表作品です。全8巻から成り立つ、長編小説です。 お恥ずかしい話、私は本シリーズをようやく最近読破しました。

コメントにておすすめされ、試しに1巻読んでみたら、止まらず一気に読了してしまいました。 膨大な資料から描かれた圧倒的描写を背景に、幼年期からの竜馬の人生を、読者は一緒に歩く事が出来ます。 多くの企業家が読み、心を打たれた名著です。竜馬の一生を通し、大量の熱を感じ取れる、名作と言えます。

17位 十二国記 小野不由美

ファンタジー小説の名作です。現在も継続している作品で完結はしていません。

本作品の変わった点として、シリーズ毎で主人公が異なる点で各作品の登場人物は時代を超えてリンクしています。基本的な内容は一読すれば分かるのですが、設定が深く、何度も読み返していると新しい発見があります。

ファンタジーというよりは、神話や歴史小説を読んでいる感覚に近く、小野不由美が生み出す幻想世界にどっぷり浸かる事が出来ます。山田章博の描くイラストも必見。小不由美の世界観に非常にマッチしており、本当に美しいです。

16位 深夜特急 沢木耕太郎

シリーズ600万部を超える有名作。バックパッカーの必読書と言われています。

本から溢れ出る熱気がすごく、脳汁がどくどくと大量に出ていることを感じながら読みました。一瞬のうちに読み終えてしまうほど、面白い作品です。

この本を読むと、仕事など全て投げ出して、リュック片手に旅に出たくなる衝動に駆られます。細かい情景描写もうまく、実際に自身がそこにいるかのような疑似体験が出来ます。『麻薬』と呼ばれている本作品。読むときは十分注意してください。

15位 マルドゥック・スクランブル 冲方丁

賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官のウフコックだった。法的に禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル−09。この緊急法令で蘇ったバロットはシェルの犯罪を追うが・・・。

冲方丁の傑作サイバーパンク小説。私は読む前は『攻殻起動隊』のような非常に難解な設定と、何度も読み直さなければ意味を理解出来ないストーリーを想像していましたが、それは杞憂でした。また、このジャンルを苦手としている人も、本作ならばのめり込んで読めると断言します。

それほどまでに、キャラクター、世界観、ストーリー構成、どれをとっても素晴らしい作品でした。悲惨な過去を生きたバロットが、徐々に心を開き、ふれあい、成長していく姿は感動です。

本作はコミカライズもされており、そちらの出来も著者が絶賛するほど素晴らしいので、もし、本作を気に入った方は是非読むことをおすすめします。

14位 ハリー・ポッターシリーズ J・K・ローリング

世界的大ブームを巻き起こしたシリーズです。

ハリーの魔法学校での生活、そして宿敵ヴォルデモートとの対決を描きます。物語は様々な伏線が引かれており、ストーリー構成も見事ですが、何より登場人物が非常に魅力的です。私はハリー、ロン、ハーマイオニーの掛け合いが好きで、3人が話しているシーンでは、いつも笑っていました。

物語の始めは少々退屈かも知れませんが、読めば読むほどキャラに愛着がわき、感情移入してしまう本作。ファンタジー好きなら必読書です。

13位 精霊の守り人(守り人シリーズ) 上橋菜穂子

短槍使いバルサの活躍を描く作品。図書館にも置かれているので、目を通した方も多いのではないでしょうか。

全10巻の長編シリーズであり、ファンタジー世界の醍醐味である、旅、仲間、国同士の戦争など全てを楽しむことが出来ます。

元々児童図書だったこともあり、非常に読みやすいので、小説が苦手な方にもおすすめです。藤原カムイによって漫画化もされており、そちらも完成度が高いので興味のある方はご覧下さい。

また、他の上橋菜穂子のおすすめ本は以下にまとめてあります。

12位 夏への扉 ロバート・A・ハインライン

冷凍睡眠とタイムトラベルと言う、SF小説の重要要素を様々に取り組んだ傑作です。古い作品で、順位には迷いましたが、未だに多くの人に愛されている点を考慮し、この順位にしました。

展開は非常にスピーディーかつ爽快で、何より、ラストはハッピーエンドとなるので、読了後の感触もとても良いものに仕上がっています。 長く読み継がれている作品には、それだけ人を魅了する大きな魅力を持っています。是非、ご堪能あれ。

11位 下町ロケット 池井戸潤

映画化もされている有名作品。元ロケットエンジニアの佃が親の町工場を継いだところから始まる話です。

シンプルなストーリー構成ながら、小さな町工場を舞台に大手企業からの無理難題を何とか乗り切る様は痛快でした。様々な選択を迫られ、苦しみながらそれを選ぶことで、周りの環境が変化していくさまは感動しました。理系でエンジニアの方なら共感出来る部分も多く、より胸が熱くなるはずです。

池井戸潤の他おすすめ小説については、以下の個別エントリーも参考にして下さい!

ビジネス小説としても優れている名作です。起業を考えている方は一度読んでみることをおすすめします。

おすすめの面白い小説|10位~1位

10位 バトルロワイヤル 高見広春

社会現象にまでなった問題作。修学旅行中の中学生たちが孤島に拉致され、そこで残り一人になるまで殺し合いを行います。凄惨な話に目を覆いたくなる時もありますが、先の読めない展開で、ページを捲る手が止まりません。

後の作品にも大きな影響を与えた一作。必読です。ちなみに漫画家もされていますが、そちらはかなりグロ要素が強いので、個人的にはあまりおすすめは出来ません。

9位 狼と香辛料 支倉 凍砂

私が読んだライトノベルの中で、一番感動した作品です。全16巻にも及ぶ長編ですが、中弛みすることなく、読む事が出来ます。

行商人ロレンスと狼の化身ホロの旅のお話を描きます。単なるファンタジーではなく通貨や為替、商人や農夫の関係、中世ヨーロッパの教会あり方などの経済や文化の成り立ちを楽しむ事が出来ます。

ライトノベルだからと敬遠している方も、我慢して1巻の中盤くらいまでは読んでもらいたいです。きっとそこまで読み進めれば、この二人をずっと見ていたいなという気分になります。

剣も魔法も出てきませんが、間違いなくそこらの薄っぺらいライトノベルとは、一線を画した面白さです。是非一読を!

8位 13階段 高野 和明

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。

私が天才だと思っている小説家の一人です。非常に重いテーマを、圧巻の筆致で書き切っています。 正直私は読み始めてから読み終わるまで、睡眠も忘れてどっぷりと浸かってしまいました。

ここまで綺麗に伏線を回収し、綿密な取材によってリアルな世界観を描きだし、読者を離さないストーリー構成で、死刑というテーマに関して真正面から描ける力量はたいしたものです。

普通小説は読者の好き嫌いが大きく出ますが、おそらく本作は、誰が読んでも絶対に面白い作品だと言い切れます。

7位 容疑者Xの献身(ガリレオシリーズ) 東野圭吾

ミステリー作品の怪物作。映画化もされているので、目にした人も多いのではないでしょうか。主人公湯川と親友石神の2人が繰り広げる心理戦は素晴らしく、息を止めながらページを捲ることが間々ありました。

ラストも圧巻で、プロットが本当によく練られた作品です。ミステリー好きではない方でも、間違いなく満足できる作品なので是非一読下さい。

ちなみにシリーズの順は『探偵ガリレオ』、『予知夢』、『容疑者Xの献身』、『ガリレオの苦悩』、『聖女の救済』、『真夏の方程式』、『虚像の道化師』、『禁断の魔術』となっています。

6位 聖の青春 大崎善生

将棋界の怪童、村山聖の一生を追ったノンフィクション小説。実在の人物を描いた作品でここまで胸を打たれたのは初めてでした。彼は強く、弱く、純粋であり、強情さと奔放さを持った人物であり、宝石の原石のような純情な輝きを放っていました。

そして、その人生の全てを幼少期の頃から将棋に捧げていました。例えどんな困難に見舞われようとも、絶対に諦めず、前に進む姿に私は深く感動しました。

師弟関係である森との生活、様々なトップ棋士との交流。そしてそれを迫力の筆致で描いた作者の力量に脱帽しました。

例え将棋が分からなくても、深くあなたの人生に影響する一冊です。生きる事、死ぬ事、努力する事、夢を見る事、様々なことを村山の一生を通して学ぶ事が出来ます。

5位 ジェノサイド 高野和明

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか・・・。

圧倒的に面白いです。エンターテイメント超大作。私はこれ以上面白いエンターテイメント小説をまだ読んだ事がありません。

大学院生の古賀と、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガー、2人を軸にして物語は進んでいきます。

特に、イエーガーの話は手に汗握ります。中身の素晴らしさとテンポの良さは、まるでハリウッド超大作映画を観ているような錯覚に陥ります。

この作品、レビューを見れば分かりますが、絶賛している人と、ストーリーは絶賛しているけれど韓国の書き方が気に食わない人に二分されています。なので、私もこの作品を読む前は、正直ちょっと引いていたのですが、実際に読んでみれば後者のほうが過剰反応し過ぎているということが分かりました。

単純に、韓国人留学生が活躍するだけで、そこまで批判しなくても・・・、と思いました。レビューに惑わされず、一つの作品として是非読んでみて下さい。長編小説ですが、一気に読めます。あらゆる要素を詰め込んだ最高の小説の一つです。

4位 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされる、アドラー。「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していきます。

劇薬です。私は無駄と感じることが非常に多い為、自己啓発書の類はほとんど読みませんが、この作品には惹かれました。例えるなら、まるで頭を金槌で何度も殴られたような衝撃でした。

アドラーの心理学について、対話形式にて分かりやすく記載してあるので、字が苦手な方でも内容が頭に入りやすい作りになっています。

3位 オレ達バブル入行組(半沢直樹シリーズ) 池井戸潤

大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。

面白い!その一言に尽きます。ドラマも大ヒットしたので、誰しも一度は聞いた事のある作品だと思います。

私はドラマを観る前に本作を読んだのですが、その題名のカッコ悪さに始めは購入を躊躇いました。しかし読んでみれば、そのスピード感に圧倒されました。

勧善懲悪の王道ストーリーをここまで痛快に描いている作品を私は知りません。作者は元銀行員というだけあって、描写は実にリアルで読ませます。万人に進められるエンターテインメント小説です。

池井戸潤の他おすすめ小説は以下になります。

本作で、池井戸潤はやっぱり天才だなと改めて感じました。

2位 博士の愛した数式 小川洋子

私はこの本を擦り切れるほど沢山読みました。本当に温かく、愛に溢れる作品です。記憶が80分しか持たない博士と、そこに勤める家政婦とその息子の交流を描いたお話です。

筆者独特の文体や描写は、静かだけれど温もりを感じさせてくれます。全ての登場人物が愛おしく、読むと心を優しく撫でられているような感覚に陥ります。『ああ、本当に素晴らしい小説だな』と心の底から思える作品です。

1位 ノルウェイの森 村上春樹

村上春樹の傑作恋愛小説。非常に有名な作品ですので読んだ人も多いかと思いますが、私はまだ、これ以上面白い恋愛小説に出会った事がありません。

彼特有の瑞々しい文章と、倦怠感が混ざる空気の中、淡々と、しかし読者の胸を抉るような物語が続きます。私が通常小説を読み涙を流す時は、感動した時や、悲しい時です。しかし、本作品は終盤、意識をしていないのに、頬に冷たい感覚を覚えました。

それは止まらず、私の目から延々と零れ落ちてきました。この時の感情をどうしても上手く説明する事が出来ませんが、喪失感や、諦観、苦しみ、葛藤など様々な感情が複雑に混ざり合い、私は涙を止める事が出来ませんでした。

私は100回以上読み直している作品で、何度読み直しても、その度に新たな発見と感動、そして喪失をくれる名著です。

他、村上春樹のおすすめ本は以下のまとめてあります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

100作品以上をまとめるのは、かなり大変な作業でした。内容を忘れている書籍もあったので、読み返している内に手が止まらなくなり、気付けば日が変わるまで読書に耽っていたというのを何度も経験しました。

しかし、非常に大変な分、面白い作業でした。本は文字から私達に色々なものをくれると改めて実感しました。

もし、このエントリーを読んで少しでも紹介した作品に興味を持っていただけたら、これ以上嬉しい事はありません。

もし他におすすめ小説があれば、是非コメントに書いて下さい!読んでみて面白かったらランキングに反映します!

本記事は随時更新中なので、また面白い作品があったら追加します。お楽しみに!

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ウマキ